活動報告

研究発表@カンタベリー

英国カンタベリーの大聖堂隣接のカンタベリー・カテドラル・ロッジにおいて開かれた国際研究集会 Ancient Thought from a Global Perspective: Human Freedom and Dignity (26-28 February) において、研究成果を発表しました。学会最終日のセッションにおいて話した論文のタイトルは、つぎのとおりです。

  • Naoki Kamimura, “The reception and (dis-)assimilation of patristic literature in early modern Japan”.

Canterbury 2016〔深夜の大聖堂〕

 学会オーガナイザの Prof. Karla Pollmann の招待によって、カンタベリー大聖堂のすぐ南にあるロッジで開かれた研究集会、あわせて学会前日に開かれた Post-Doctoral Fellow 主体のセミナーに参加し、また小規模のあつまりであったこともあり、濃密な議論の空間を享受することができました。EU ベースのプロジェクトに参加した人々は、英国、デンマーク、ロシア、ドイツ、イタリア、スペイン、ブラジル、チェコ、ハンガリー、日本、と多国籍で、今日のヨーロッパを中心とした人文学の交流の一端を覗くことができました。
 初日午前は、近くのアウグスティヌス修道院跡を訪ねることができたのも幸運でした。ハイシーズンでなかったので、土日しか空いてないということでした。二日目の午後には、大聖堂のアーカイヴと図書館に案内されて、アルキヴィストの Mrs Cressida Williams による特別講義を受けました。古刊本修復の現場に立ち合って、この地において「雁皮」という言葉が発せられる場面に出くわしたのは一興でした。
 発表した論文について、刊行予定の論文集への投稿を誘われたのはよかったですが、なによりも議論のなかで今後検討すべき課題について有益な示唆を受けとることができたのがこの学会参加の収穫であったと言えるでしょう。

研究発表@臺灣屏東

臺灣・屏東の国立屏東大学において開かれた第10回 International Conference of the Taiwan Association of Classical, Medieval and Renaissance Studies (21-22 October) において、研究成果を発表しました。学会2日目のセッションにおいて話した論文のタイトルは、以下の通りです。

  • Naoki Kamimura, “Augustine on Friendship: Some Remarks on the Letters with Christian and Pagan Intellectuals”.

TACMARS 2016〔屏東大学キャンパス内の庭園〕

 近いにもかかわらず、これまで訪ねたことがなかった臺灣での学会に初参加でした。羽田からは大変便利で、臺北松山空港からは高速鐵路で高雄まで到達。そのあとは特急で屏東市に到着しました。学会での発表は、古代末期についてはどちらかといえば西洋古典学からの発表が主体で、教父を扱ったものは他にはありませんでした。とはいえ、充分に考えるべき質問をもらえたので幸運でした。
 屏東のまちなみは、大学周りの整然とととのった光景と、それ以外の雑然としたたたずまいが対照的でした。夜は、夜店に出て中国語をまったく解さないにもかかわらず、メニューの写真を見て頼んだ料理を堪能しました。また、大学の学生スタッフがたいへん丁寧に応対してくれて、快適でした。

研究発表@シドニー

シドニーの St Andrew’s Greek Orthodox Theological College で 2年ごとに開かれる St Andrew’s Patristic Symposium 2016 “John Chrysostom” (23-24 September) において、研究成果を発表しました。学会初日 (September 23) のセッションにおいて話した論文のタイトルは、つぎのとおりです。

  • Naoki Kamimura, “Deification and the Foundation of Spiritual Progress in John Chrysostom and Augustine”.

St Andrews 2016〔College from Prince Alfred Park〕

この発表においては前回と同じく、東方教父のテクストを分析、検討した成果を発表しました。この発表を踏まえて、Theological College の雑誌 Phronema への投稿を準備したいと考えています。2回目の参加となったこの学会では、Keynote speaker として招かれた研究者との議論を通して、いままで取り組んできたテーマをさらに広い観点にもとづいて拡張する可能性に気づくことになりました。小規模の学会でしたので、友人たちとの交流を楽しみ、またざっくばらんな雰囲気のなかでの議論は大変ためになりました。つぎからつぎへとセッションを渡り歩くような大規模なファクトリーのような学会では新たな出会いがあってそれも刺激的ですが、テーマを絞った交流のなかで自分の考えている問いをさらに掘りさげるためには、このような小さな交わりのほうがよいのでしょう。

研究発表@サンクトペテルブルク

ロシア・サンクトペテルブルクのサンクトペテルブルク・ロシア国立航空宇宙装備技術大学で開かれた APECSS 第10回研究集会 (Conference Theme: Survival of Early Christian Traditions, from 9–11 September) において、研究成果を発表しました。学会2日目 (10 September) のセッション 6 において話した論文のタイトルは、以下の通りです。

  • Naoki Kamimura, “The Provisional Reception of Patristic Authors in 16th-Century Japan”.

APECSS 2016〔Helmitage〕

パリを経由しての、はじめてのロシア訪問でした。サンクトペテルブルクの街はうつくしく、観光シーズンの最後の時期になっていたのですが、さほど寒くもなく、宿舎から大学への道程もまた街中の散策も快適でした。ただし、この街のドライバーは市内でも全力疾走で、それが驚きでした。
 学会開催に尽力した方々、とくに Basil と Xenia に感謝。カンファレンスディナーではすばらしいグルジア(ジョージア)の料理を秘密の場所で、ひさしぶりに再開した Claudia, Jenna との会話を楽しみながら堪能しました。日本から参加した人々とはいったレストランで、最初のお通しがウォッカだったのにはお国柄を感じました。
 肝心の発表においては、聞き手にとって文化的におそらく馴染みのない出来事について前提から説明をしながら、いかに論証を展開するのか、あたらしいタイプのトピックを扱ったので準備の段階から大変でしたが、刺激的な経験を積むことができました。

研究発表@カルガリー

カナダ・アルバータ州のカルガリー大学で開かれた「カナダ教父学会」年次集会 (29-31 May) において、研究成果を発表しました。学会最終目 (May 31) のセッション 7 において、Prof. Lincoln Blumell の司会のもとで話した論文のタイトルは、つぎのとおりです。

  • Naoki Kamimura, “Augustine’s Friendship and the Shared Vision: The Correspondence between Augustine, Flavius Marcellinus, and Volusianus”.

CSPS 2016〔University of Calgary〕

学会直前に事務局からの連絡で、キャンパス内宿舎が州北部の大規模火災からの避難民に提供されるため、市内のホテルに移ってくださいということで、どうなるのかと思いましたが、至極快適なホテル滞在でした。思い返せばカナダに来るといつも大学内のドミトリーに泊まるので、市内を歩き回るのは数年ぶりでした。コンパクトなカルガリー市街はきれいなところでした。帰国前日にはいったチェーンではないコンビニエンスストアでは、十年以上前に日本に滞在していた店主と珍妙な問答を楽しみ、あとからはいってきたカナダ人から怪訝な目で見られました。
 当の発表自体は、話しの筋についてもう少しインパクトを示す工夫が必要だと思いました。また、状況説明についてもうすこし明快な導入も必要でした。よって反省材料が多い発表でした。また、2009年といえば、いまから7年前になりますが、その年にフィラデルフィアの学会の同じセッションで発表した研究者と再会しました。博士号を取得したあとのキャリアに苦労しているようで、北米アカデミアの競争の激しさをあらためて思い知らされました。

研究経過

春に連続した学会発表が一段落ついたので、電子申請システムにログインして、「実績報告書」「実施状況報告書」を作成し、提出しました。報告書を作成する過程で、今年度の研究計画についてあらためて考えるとともに、前年度の研究費にて購入した DVD データベースを活用し、論文投稿に積極的に取り組む予定を報告書に記載しました。2014年度の研究実績の概要については、研究経過からごらんください。また、公刊した論文、書評、学会発表についてはすべて、研究成果に載せました。

学会発表@マルタ

マルタ共和国サンポールズ・ベイのホテルで開かれた Ministerium Sermonis III. An International Colloquium on North African Patristic Sermons (8-10 April 2015) において、研究成果を発表しました。学会最終日のセッション5にて、Anthony Dupont (KU Leuven) の司会のもとで話した論文のタイトルは、以下の通りです。

  • Naoki Kamimura, ‘Christian and/or Pagan Identities and Their Relationship with the Spiritual Exercise in the Sermons of Augustine’.

Mosta 2015〔エクスカージョンで訪れたモスタの聖母マリア教会大聖堂〕

三日間にわたって開かれた学会において、この領域における著名な研究者にはじめて会うことができました。事前のプログラムから何人かのキャンセルが出ていたので、オーガナイザも大変だったと思いますが、イェールの Paul Kolbet、シカゴの Leslie Dossey、フランスからは Françoic Dolbeau, Isabelle Bochet、ウィーンからは Clemens Weidmann、ルーヴァンからは Dupont と Mathijs Lamberigts、また、若手の研究者の発表もそれぞれ非常によく準備されたもので、大変に刺激的な集まりでした。この学会での成果は、Brepols からの論文集として出版される予定なので、秋までに発表稿をさらに修正、加筆して無事投稿にこぎつけたいと考えています。

学会発表@アイオワ

アイオワの University of Iowa で開かれた Shifting Frontiers in Late Antiquity XI (26-29 March 2015) において、研究成果を発表しました。研究集会の最終日 29 March において発表した論文のタイトルは、次の通りです。

  • Naoki Kamimura, ‘Augustine’s Psychological Configuration of Almsgiving and its Correlation with his View of the Society’

2015 SFLA〔アイワオ大学 College of Law〕

これまではもっぱら教父学、初期キリスト教を中心とする研究集会に参加してきましたが、はじめて北米での学際的な学会に参加し、歴史、文学をふくめさまざまな視点から交錯する発表を聞き、討論に参加する機会を得ることができました。今回は質疑応答に積極的に加わることの難しさも経験しました。哲学的な観点からすすめられる議論についてはコメントすることができても、それ以外の場面では自在に自分の意見を呈示することはできず、もどかしい思いを味わいました。とはいえ、この学会における討論は極めて刺激的であって、次回にはイエールで開催される研究集会への参加を検討してみたいと思います。

学会発表@ブリスベン

ブリスベンの Centre for Early Christian Studies: Australian Catholic University で開かれた研究集会 Agency and Power in Early Christian Social and Church Issues (6-7 March 2015) において、研究成果を発表しました。研究集会の初日のセッションにおいて発表した論文のタイトルは、つぎの通りです。

  • Naoki Kamimura, ‘Augustine’s Psychological Configuration of Almsgiving and its Correlation with the View of Society,’

2015 CECS〔ブリスベン・オーストラリアカトリック大学キャンパス〕

研究集会の第二日目のセッション終了後には、アレン教授からの発表へのコメントと意見交換を通して、次年度に検討すべき課題について考察を深めることができました。また、今回の研究発表は、二十日後にアイオワで行なう発表の予行演習でしたが、同時に2009年から三箇年で実施した科研プロジェクトの成果を再考するものでした。一旦は離れてしまった研究テーマでしたが、継続して考察する必要についてあらためて気づくことになりました。

学会発表@シドニー

シドニーの St Andrew’s Greek Orthodox Theological College で開かれた St Andrew’s Patristic Symposium 2014: From Alexandria to Cappadocia and Back Again (26-27 September) において、研究代表者が研究成果を発表しました。学会初日 (September 26) のセッションにおいて、Adam Cooper (John Paul II Institute for Marriage and Family) の司会のもとで話した論文のタイトルは、以下の通りです。

  • Naoki Kamimura, “Spiritual Itinerary of the Soul to God in Gregory of Nyssa and Augustine”.

この学会においてはじめて東方教父のテキストを分析、検討した成果を発表しました。この発表を踏まえて、Theological College の雑誌 Phronema への投稿を準備したいと考えています。また、次回 2016年の9月に開かれる研究集会の統一テーマがすでに personality and contributions of Saint John Chrysostom と決まっているので、その準備もすすめるつもりです。

この学会にははじめて参加したのですが、同じく初参加の台湾からの研究者との会期中の交流を通して、今後の研究交流の可能性が開けてきました。まずは、2015年に台湾の雑誌において特集を企画しているテーマへの投稿を依頼されたので、この研究プロジェクトに関係するテーマにて論文を執筆する予定です。また、日本の教父研究会と台湾の研究機関との相互交流についても、今後の課題として検討してみたいと思います。

2014 St Andrews〔シドニー市内の公園にて〕

学会が終了しフライトまで時間があったので、夕方までシドニー市街を散策しました。上の写真はそのときに撮ったものです。夕方になってキングスフォードスミス空港に向かい、カウンターに到着したところいつもとは違う様子に気づいて話を聞くと、日本国内で火山の噴火が発生したのでカンタスのフライトがすべてキャンセルになったということでした。御嶽での被害についてその時点では分からなかったのですが、市内のホテルがクリケットのイベントですべてふさがっているので急遽友人に連絡をいれ、一泊お世話になりました。翌朝はフィッシュマーケットにて新鮮な牡蠣を堪能できたのはよかったのですが、よもや登山中にそれほどの悲劇が起こっているとは想像できませんでした。