GASR report published.

2017年2月に、基盤研究C「アウグスティヌスにおける心性の複層性と修道制への関与」の成果報告書を Kamimura, N. Disciplines and Identities, Divine and Spiritual, in Late Antiquity, Research Report Grant-in-Aid for Scientific Research (C) JP26370077, Tokyo, 2017 として刊行しました:報告書目次

なお、科学研究費助成事業データベース「KAKEN」から検索可能なこの研究課題のページにおいても、電子報告書がアップロードされる予定です。

Conference talk @ Canterbury UK

英国カンタベリーの大聖堂隣接のカンタベリー・カテドラル・ロッジにおいて開かれた国際研究集会 Ancient Thought from a Global Perspective: Human Freedom and Dignity (26-28 February) において、研究成果を発表しました。学会最終日のセッションにおいて話した論文のタイトルは、つぎのとおりです。

  • N. Kamimura, ‘The reception and (dis-)assimilation of patristic literature in early modern Japan,’ International Conference ‘Ancient Thought from a Global Perspective: Human Freedom and Dignity’, Canterbury Cathedral Lodge, Canterbury, UK: 25 February–1 March 2017.

Canterbury 2017
Canterbury 2017
学会オーガナイザの Prof. Karla Pollmann の招待によって、カンタベリー大聖堂のすぐ南にあるロッジで開かれた研究集会、あわせて学会前日に開かれた Post-Doctoral Fellow 主体のセミナーに参加し、また小規模のあつまりであったこともあり、濃密な議論の空間を享受することができました。EU ベースのプロジェクトに参加した人々は、英国、デンマーク、ロシア、ドイツ、イタリア、スペイン、ブラジル、チェコ、ハンガリー、日本、と多国籍で、今日のヨーロッパを中心とした人文学の交流の一端を覗くことができました。
Canterbury 2017
Canterbury 2017
初日午前に近くのアウグスティヌス修道院跡を訪ねることができたのも幸運でした。ハイシーズンでなかったので、土日しか空いてないということでした。2日目午後には、大聖堂のアーカイヴと図書館に案内されて、アルキヴィストの Mrs Cressida Williams による特別講義を受けました。古刊本修復の現場に立ち合って、この地において「雁皮」という言葉が発せられる場面に出くわしたのは一興でした。
発表した論文について刊行予定の論文集への投稿を誘われたのはよかったですが、なによりも議論のなかで今後検討すべき課題について有益な示唆を受けとることができたのがこの学会参加の収穫であったと言えるでしょう。

Conference talk @ Pingtung Taiwan

臺灣・屏東の国立屏東大学において開かれた第10回 International Conference of the Taiwan Association of Classical, Medieval and Renaissance Studies = TACMARS (21-22 October) において、研究成果を発表しました。学会2日目のセッションにおいて話した論文のタイトルは、つぎの通りです。

  • N. Kamimura, ‘Augustine on Friendship: Some Remarks on the Letters with Christian and Pagan Intellectuals,’ 10th International Conference of the Taiwan Association of Classical, Medieval and Renaissance Studies, National Pingtung University, Pingtung, Taiwan: 21–22 October 2016.

TACMARS 2016
TACMARS 2016

近いにもかかわらず、これまで訪ねたことがなかった臺灣での学会にはじめて参加しました。羽田からは大変便利、臺北松山空港まで3時間程度、そこから市内に移動、高速鐵路で高雄まで到達(車両は話に聞いていたように日本の新幹線)。そのあとは特急で屏東に到着。10月下旬とはいえ、臺灣南部だけに街中を歩いているだけで汗ばむほどでした。学会での発表は、古代末期については西洋古典学の領域からの発表が主体で、教父を扱った発表はほかにありませんでした。とはいえ、充分に考えるべき質問をもらえたので幸運でした。
 屏東のまちなみは、大学周りの整然とした光景と、それ以外の雑然とし、商店が軒を並べた活気あるたたずまいが対照的でした。夜は、町中を散策し、あてずっぽうにたどりついた夜店にて、中国語をまったく解さないにもかかわらず、メニューの写真をたよりに注文した香辛料のよく効いた料理を堪能しました。また、大学の学生スタッフがたいへん丁寧に応対してくれたことが印象に残りました。

Conference talk @ Sydney

シドニーの St Andrew’s Greek Orthodox Theological College で 2年ごとに開かれる St Andrew’s Patristic Symposium 2016 “John Chrysostom” (23-24 September) において、研究成果を発表しました。学会初日 (September 23) のセッションにおいて話した論文のタイトルは、つぎのとおりです。

  • Naoki Kamimura, ‘Deification and the Foundation of Spiritual Progress in John Chrysostom and Augustine,’ The Seventh St Andrew’s Patristic Symposium “Saint John Chrysostom”, St Andrew’s Greek Orthodox Theological College, Sydney, NSW: 23–24 September 2016.

St Andrews 2016
St Andrews 2016

この発表においては前回と同じく、東方教父のテクストを分析、検討した成果を発表しました。この発表を踏まえて、Theological College の雑誌 Phronema への投稿を準備したいと考えています。2回目の参加となったこの学会では、Keynote speaker として招かれた研究者との議論を通して、いままで取り組んできたテーマをさらに広い観点にもとづいて拡張する可能性に気づくことになりました。小規模の学会でしたので、友人たちとの交流を楽しみ、またざっくばらんな雰囲気のなかでの議論は大変ためになりました。つぎからつぎへとセッションを渡り歩くような大規模なファクトリーのような学会では新たな出会いがあってそれも刺激的ですが、テーマを絞った交流のなかで自分の考えている問いをさらに掘りさげるためには、このような小さな交わりのほうがよいのでしょう。

Conference talk @ St Petersburg

ロシア・サンクトペテルブルクのサンクトペテルブルク・ロシア国立航空宇宙装備技術大学で開かれた APECSS 第10回研究集会 (Conference Theme: Survival of Early Christian Traditions, from 9–11 September) において、研究成果を発表しました。学会2日目 (10 September) のセッション 6 において話した論文のタイトルは、以下の通りです。

  • N. Kamimura, ‘The Provisional Reception of Patristic Authors in 16th-Century Japan,’ APECSS 10th Annual Conference “Survival of Early Christian Traditions”, State University of Aerospace Instrumentation, St Petersburg, Russia: 9–11 September 2016.

APECSS 2016
APECSS 2016

パリを経由しての、はじめてのロシア訪問でした。サンクトペテルブルクの街はうつくしく、観光シーズンの最後の時期になっていたのですが、さほど寒くもなく、宿舎から大学への道程もまた街中の散策も快適でした。ただし、この街のドライバーは市内でも全力疾走で、それが驚きでした。
 学会開催に尽力した方々、とくに Basil と Xenia に感謝。カンファレンスディナーではすばらしいグルジアの料理を秘密の場所で、再会した Claudia, Jenna との会話を楽しみながら堪能しました。日本から参加した人々と入ったレストランでのお通しがウォッカだったのにはお国柄を感じました。
 肝心の発表においては、聞き手にとって文化的におそらく馴染みのない出来事について前提から説明をしながら、いかに論証を展開するのか、あたらしいタイプのトピックを扱ったので準備の段階から大変でしたが、刺激的な経験を積むことができました。

Conference talk @ Calgary

カナダ・アルバータ州のカルガリー大学で開かれた「カナダ教父学会」年次集会 (29-31 May) において、研究成果を発表しました。学会最終日 (May 31) Session 7 において、Prof. Lincoln Blumell の司会のもとで話した論文のタイトルは、つぎのとおりです。

  • N. Kamimura, ‘Augustine’s Friendship and the Shared Vision: The Correspondence between Augustine, Flavius Marcellinus, and Volusianus,’ Annual Meeting of the Canadian Society of Patristic Studies, University of Calgary, Calgary, Alberta: 29–31 May 2016.

CSPS 2016
CSPS 2016

学会直前に事務局からの連絡で、キャンパス内宿舎が州北部の大規模火災からの避難民に提供されるため、市内のホテルに移ってくださいということで、どうなるのかと思いましたが、至極快適なホテル滞在でした。思い返せばカナダに来るといつも大学内のドミトリーに泊まるので、市内を歩き回るのは数年ぶりでした。コンパクトなカルガリー市街はきれいなところでした。帰国前日にはいったチェーンではないコンビニエンスストアでは、10年以上前に日本に滞在していた店主と珍妙な問答を楽しみ、あとからはいってきたカナダ人から怪訝な目で見られました。
当の発表自体は、話しの筋についてもう少しインパクトを示す工夫が必要だと思いました。また、状況説明についてもうすこし明快な導入も必要でした。よって反省材料が多い発表でした。また、2009年といえば、いまから7年前になりますが、その年にフィラデルフィアの学会の同じセッションで発表した研究者と再会しました。博士号を取得したあとのキャリアに苦労しているようで、北米アカデミアの競争の激しさをあらためて思い知らされました。

GASR 2014–2016 Research progress

電子申請システムにログインして、「実績報告書」「実施状況報告書」を作成し、提出しました。報告書を作成する過程で、最終年度の研究計画について考えるとともに、最終年度にかずおおく行なう予定の学会発表について、報告書に記載しました。2015年度の研究実績の概要については、研究経過からごらんください。また、公刊した論文、書評、学会発表についてはすべて、研究成果に載せました。

Conference talk @ Brisbane

ブリスベンの Centre for Early Christian Studies: Australian Catholic University で二日間にわたって開かれた研究集会 Agency and Power in Early Christian Social and Church Issues (4-5 March 2016) において、研究代表者・分担者がそれぞれ研究成果を発表しました。研究集会の初日のセッションにおいて発表した論文のタイトルは、つぎの通りです。

  • N. Kamimura, ‘Deification and the Spiritual Progress in Chrysostom and Augustine’.
  • M. Sato, ‘Forma vivendi in the Fourth Book of Augustine’s De Doctrina Christiana‘.

CECS 2016
CECS 2016
この研究集会では,進行中のオーストラリアのプロジェクト Agency and Power in Early Christian Social Issues の進捗状況について説明を受けるとともに,2015年の研究成果に関するリストを呈示されました。あいかわらず活発な研究活動が続いていて、おおいに刺激を受けました。
 また、初日の発表後には、クリュソストモス研究をリードする研究者である Dr Wendy Mayer から、この発表について今後検討すべき問題についての示唆を受けるとともに、発表をめぐって有益な意見交換をすすめることができました。今回の研究発表は、今年9月に参加、研究発表を検討しているシドニーにおける教父学シンポジウムの前段階として、その一部を発表する予行演習としておこなったもので、9月までに検討すべき課題を明らかにできたという点で、非常に有意義でした。

Conference talk @ Oxford

英国オクスフォード大学にて開かれた XVII. International Conference on Patristic Studies (10-14 August 2015) において、研究成果を発表しました。Prof. Anthony Dupont と Prof. David Wilhite がオーガナイズし、Christ Church Blue Boar Exhibition にて、2日間にわたって行なわれたワークショップ ‘Out of Africa’: The Quest for North African Theological Identity(/-ies) in the Patristic Era において発表した論文のタイトルは、以下の通りです。

  • N. Kamimura, ‘Christian and Pagan Identities and Their Relationship with the Spiritual Training in the Letters of Augustine,’ Workshop ‘Out of Africa’: The Quest for North African Theological Identity(/-ies) in the Patristic Era, XVII. International Conference on Patristic Studies, Oxford: 10–14 August 2015.

ICPS 2015
ICPS 2015

オクスフォード学会への3回目の参加でした。今回は、APECSS Social Gathering において、Geoff と Wendy が中心に準備をすすめてきた Brill の叢書 Vigiliae Christianae 所収の論文集の Pauline へのお披露目がおこなわれ、みなが集まってお祝いをしました。今回滞在した宿舎は、St Edmund Hall、Examination School のほぼ真向かいにあるので移動に大変便利でした。とはいえ、滞在費・参加費をふくめてこの学会において発表するための費用はかなり高額になっており、若手の PD にとっては大変な状況になっています。

GASR 2014–2016 Research progress

春に連続した学会発表が一段落ついたので、電子申請システムにログインして、「実績報告書」「実施状況報告書」を作成し、提出しました。報告書を作成する過程で、今年度の研究計画についてあらためて考えるとともに、前年度の研究費にて購入した DVD データベースを活用し、論文投稿に積極的に取り組む予定を報告書に記載しました。2014年度の研究実績の概要については、研究経過からごらんください。また、公刊した論文、書評、学会発表についてはすべて、研究成果に載せました。