Conference talk @ Brisbane

2018年1月下旬からブリスベンのクイーンズランド大学において開催された ASCS オーストラレーシア古典学会に参加し、進行中のプロジェクトに関連する研究発表を行ないました。発表タイトルはつぎのとおりです。

  • N. Kamimura, “Constructing the Sacred in Late Antiquity: Jerome as a Guide for Christian Identity,” 39th Australasian Society for Classical Studies conference, University of Queensland, Brisbane, QLD: 29 January–2 February 2018.

2018 ASCS
2018 ASCS
今回は、ASCS 参加に先立って、シドニーのマコーリー大学で開かれる書簡セミナーに出席し、大学構内に1泊しました。翌日、ブリスベンへ移動、空港から UQ へ移動しました。キャンパスは広大で、池のほとりでは夕方になるとカモメがうるさく飛び回っていました。研究発表については、Late Antiquity session において、ヒエロニムスのテクスト分析を紹介し、質問も幾つか出たので、今後の課題です。また、論集への寄稿の準備もはじめなければなりません。
2018 ASCS
学会がおわったあとで日程にすこし余裕があったので、友人たちにコアラサンクチュアリを案内してもらいました。メルボルンの動物園ですでに見たことのあるなじみの動物が多かったのですが、気温のためなのか、このサンクチュアリの動物たちのほうが生き生きとしていました。霧雨の煙るなか、カンガルーはエサを求めて人々の回りにわらわらと集まっているものもいれば、エサに飽きてじっとたたずんでいるものも。印象的だったのは、タスマニアンデヴィルがあんなに活発に動き回っているのをはじめて見たことと、カモノハシも元気に泳いでいたことです。ディンゴはかわいらしく、まるで柴犬のようでした。

Conference talk @ APECSS 2017 Melbourne

今回で11回目となった APECSS (Asia-Pacific Early Christian Studies) Conference に参加するためメルボルンに赴きました。学会テーマは、Responses to Conflict in Early Christianity、学会二日目のセッション 1B において研究成果を発表しました。論文タイトルは、つぎのとおりです。

  • N. Kamimura, ‘Tertullian’s understanding of sacred places and the differentiation of Christians from pagans,’ APECSS 11th Annual Conference, Australian Catholic University, Melbourne, VIC: 22-24 September 2017.

2017 Melbourne

22日夕方からの学会にさきだって、昨年からはじまった研究プロジェクトの打ち合わせが行なわれたので、学会会場と通りをはさんで向かいの新しいビルに空港から直接向かいました。古代末期に向かう時代のなかでユートピア概念の変遷を検討するこのプロジェクトにおいては、ヒエロニムスのテクスト群を考察するという役割を担当しているので,その点についての現段階での簡単な報告をしました。ヒエロニムスの分析の一端は、来年の ASCS Conference において試みるつもりです。

発表については、想定された質問がでたので、それに答えることになったのですが、いつも注意すべきであって今回できなかったのは、質問に答えすぎたというか、シンプルに質問に答えることができなかったということです。限られた質疑の時間のなかで説明過多にならず、相手の論点をさらに引きだす、また他の人からの質問を促すかたちでの簡潔な答えを述べるにとどめることの大切さをあらためて実感しました。

木曜日の夜に羽田を発ち、金曜・土曜・日曜の学会の後に、月曜の朝メルボルンを出国、夕方成田到着、夜に自宅到着という慌ただしいスケジュールでした。久しぶりにオーストラリアの友人たちと出会って、カンファレンス・ディナーをふくめて、いろいろと話し合うことができたのは大きな刺激となりました。少しづつとはいえ、APECSS に日本から新たに参加する人たちが出てきているのは嬉しいことです。

Conference talk @ Sydney

シドニーの St Andrew’s Greek Orthodox Theological College で 2年ごとに開かれる St Andrew’s Patristic Symposium 2016 “John Chrysostom” (23-24 September) において、研究成果を発表しました。学会初日 (September 23) のセッションにおいて話した論文のタイトルは、つぎのとおりです。

  • Naoki Kamimura, ‘Deification and the Foundation of Spiritual Progress in John Chrysostom and Augustine,’ The Seventh St Andrew’s Patristic Symposium “Saint John Chrysostom”, St Andrew’s Greek Orthodox Theological College, Sydney, NSW: 23–24 September 2016.

St Andrews 2016
St Andrews 2016

この発表においては前回と同じく、東方教父のテクストを分析、検討した成果を発表しました。この発表を踏まえて、Theological College の雑誌 Phronema への投稿を準備したいと考えています。2回目の参加となったこの学会では、Keynote speaker として招かれた研究者との議論を通して、いままで取り組んできたテーマをさらに広い観点にもとづいて拡張する可能性に気づくことになりました。小規模の学会でしたので、友人たちとの交流を楽しみ、またざっくばらんな雰囲気のなかでの議論は大変ためになりました。つぎからつぎへとセッションを渡り歩くような大規模なファクトリーのような学会では新たな出会いがあってそれも刺激的ですが、テーマを絞った交流のなかで自分の考えている問いをさらに掘りさげるためには、このような小さな交わりのほうがよいのでしょう。

Conference talk @ Brisbane

ブリスベンの Centre for Early Christian Studies: Australian Catholic University で二日間にわたって開かれた研究集会 Agency and Power in Early Christian Social and Church Issues (4-5 March 2016) において、研究代表者・分担者がそれぞれ研究成果を発表しました。研究集会の初日のセッションにおいて発表した論文のタイトルは、つぎの通りです。

  • N. Kamimura, ‘Deification and the Spiritual Progress in Chrysostom and Augustine’.
  • M. Sato, ‘Forma vivendi in the Fourth Book of Augustine’s De Doctrina Christiana‘.

CECS 2016
CECS 2016
この研究集会では,進行中のオーストラリアのプロジェクト Agency and Power in Early Christian Social Issues の進捗状況について説明を受けるとともに,2015年の研究成果に関するリストを呈示されました。あいかわらず活発な研究活動が続いていて、おおいに刺激を受けました。
 また、初日の発表後には、クリュソストモス研究をリードする研究者である Dr Wendy Mayer から、この発表について今後検討すべき問題についての示唆を受けるとともに、発表をめぐって有益な意見交換をすすめることができました。今回の研究発表は、今年9月に参加、研究発表を検討しているシドニーにおける教父学シンポジウムの前段階として、その一部を発表する予行演習としておこなったもので、9月までに検討すべき課題を明らかにできたという点で、非常に有意義でした。

Conference talk @ Brisbane

ブリスベンの Centre for Early Christian Studies: Australian Catholic University で開かれた研究集会 Agency and Power in Early Christian Social and Church Issues (6-7 March 2015) において、研究成果を発表しました。研究集会の初日のセッションにおいて発表した論文のタイトルは、つぎの通りです。

  • N. Kamimura, ‘Augustine’s Psychological Configuration of Almsgiving and its Correlation with the View of Society,’ Annual meeting of the Centre for Early Christian Studies ‘Agency and Power in Early Christian Social and Church Issues,’ Australian Catholic University, Brisbane, QLD: 6–7 March 2015.

ACU 2015
ACU 2015

研究集会の第2日目のセッション終了後には、Prof. Allen からの発表へのコメントと意見交換を通して、次年度に検討すべき課題について考察を深めることができました。また、今回の研究発表は、20日後に Iowa で行なう発表の予行演習でしたが、同時に2009年から3箇年で実施した科研プロジェクトの成果を再考するものでした。一旦は離れてしまった研究テーマでしたが、継続して考察する必要についてあらためて気づくことになりました。

Conference talk @ Sydney

シドニーの St Andrew’s Greek Orthodox Theological College で開かれた St Andrew’s Patristic Symposium 2014: From Alexandria to Cappadocia and Back Again (26-27 September) において、研究代表者が研究成果を発表しました。学会初日 (September 26) のセッションにおいて、Adam Cooper (John Paul II Institute for Marriage and Family) の司会のもとで話した論文のタイトルは、以下の通りです。

  • N. Kamimura, ‘Spiritual Itinerary of the Soul to God in Gregory of Nyssa and Augustine’, St Andrew’s Patristic Symposium 2014, St Andrew’s Greek Orthodox Theological College, Sydney, NSW: 26-27 September 2014.

この学会においてはじめて東方教父のテキストを分析、検討した成果を発表しました。この発表を踏まえて、Theological College の雑誌 Phronema への投稿を準備したいと考えています。また、次回 2016年の9月に開かれる研究集会の統一テーマがすでに personality and contributions of Saint John Chrysostom と決まっているので、その準備もすすめるつもりです。

この学会にははじめて参加したのですが、同じく初参加の台湾からの研究者との会期中の交流を通して、今後の研究交流の可能性が開けてきました。まずは、2015年に台湾の雑誌において特集を企画しているテーマへの投稿を依頼されたので、この研究プロジェクトに関係するテーマにて論文を執筆する予定です。また、日本の教父研究会と台湾の研究機関との相互交流についても、今後の課題として検討してみたいと思います。

Sydney 2014
Sydney 2014
Sydney 2014

学会が終了しフライトまで時間があったので、夕方までシドニー市街を散策しました。左の写真はそのときに撮ったものです。夕方になってキングスフォードスミス空港に向かい、カウンターに到着したところいつもとは違う様子に気づいて話を聞くと、日本国内で火山の噴火が発生したのでカンタスのフライトがすべてキャンセルになったということでした。御嶽での被害についてその時点では分からなかったのですが、市内のホテルがクリケットのイベントですべてふさがっているので急遽友人に連絡をいれ、一泊お世話になりました。翌朝フィッシュマーケットにて新鮮な牡蠣を堪能できたのはよかったのですが、よもや登山中にそれほどの悲劇が起こっているとは想像できませんでした。

Seminar talk @ Brisbane

オーストラリア・ブリスベンのオーストラリアカトリック大学初期キリスト教研究センターにおいて開かれた研究所年次集会 Annual Meeting of the Centre for Early Christian Studies, Australian Catholic University において、研究代表者の上村が刊行した研究報告書について以下の発表を行なうとともに、海外研究協力者 Pauline Allen 教授、また集会に参加した研究所メンバーと意見の交換を行ないました。

  • N. Kamimura, ‘Funded Grant-in-Aid for Scientific Research (Kakenhi) Project: Scriptural Exegesis in Augustine’, Annual meeting of the Centre for Early Christian Studies, Australian Catholic University, Brisbane, QLD: 7-8 March 2014.

2日間にわたって開かれたミーティングでは,今年度から始まった科研費プロジェクトの概要についての短いペーパーを読みました。一方,オーストラリア側からは進行中の Religious Conflict プロジェクトの状況について報告されるとともに,新しくスタートすると告知されている Institute of Religion and Critical Enquiry について紹介されましたが、この体制の変更が現在活発に行なわれている研究所の活動に対してどれほど貢献するのか、疑念を持たざるをえませんでした。APECSS の活動については、2015 Tokyo, 2016 St Petersburg, 2017 Brisbane での開催予定が報告されました。

Conference talk @ Melbourne

オーストラリア・メルボルンの ACU St Patrick’s Campus で開かれた「初期キリスト教学会 Early Christian Centuries」第1回学会 (3-5 October 2013) において、研究代表者の上村、分担者の佐藤がそれぞれ研究を発表しました。学会初日 (October 3) の 1Bセッション “Patristic Exegesis on the Creation of Male and Female” において、Doru Costache博士の司会のもとで、佐藤が発表し、学会第2日 (October 4) の 4Bセッション “Hagiography: The Ascetic Life in Text” において、Malcolm Choat博士の司会のもとで、上村が発表を行ないました。それぞれの発表タイトルは、以下の通りです。

  • M. Sato, “The role of Eve in salvation in Augustine’s interpretation of Genesis chapter 2”.
  • N. Kamimura, “Augustine’s quest for perfection and the encounter with Vita Antonii”.

ECC 2013
ECC 2013
久しぶりのメルボルン訪問。今回は学会(これまでの名称 Prayer and Spirituality in the Early Church から変更)にさきだって、研究所のメンバーと相互にプロジェクトの進捗状況等について打ち合わせ、学会初日は、St. Paul’s Cathedral において、Mozart’s Requiem Concernt。カンファレンスディナーは、メルボルンクラブ、あいかわらず豪奢な雰囲気。旅程上出発までの時間があったのでスーツケースを引きずりながら Melbourne Zoo をたずねて、はじめて南半球固有の動物たちに会いました。
ECC 2013
ECC 2013
あまり陽気がよくなかったせいか、活動的な動物はミーアキャットのみで、カンガルーは横たわったまま。飼育されているわけではない、園内を歩いていたカモの親子連れの行列のヒナにちょっかいをだそうとした男の子が、なんどもトライ、さきに行っているお父さんにくりかえし呼び戻され、最後はカモの親にギャアと威嚇されると同時に、「クリスチャン!!!」と怒鳴られて、かわいそうな顛末。それから、はじめてクジャクが羽を広げているさまを後ろから眺めて、裏側の仕組みに納得。

Seminar talk @ Brisbane

オーストラリア・ブリスベンのオーストラリアカトリック大学初期キリスト教研究センターにおいて開かれた研究所年次集会 Annual Meeting of the Centre for Early Christian Studies, Australian Catholic University において、研究代表者の上村が今年度 (2011) からはじまった科研費プロジェクト「アウグスティヌスにおける聖書解釈の理論と実践」の詳細を説明する以下の発表を行なうとともに、海外研究協力者 Pauline Allen 教授、また集会に参加した研究所メンバーと意見の交換を行ないました。

  • N. Kamimura, “Augustine’s Early Commentaries on the Pauline’s Epistles: Outline of the 2011-2013 Grants-in-Aid for Scientific Research Project”, Australian Catholic University, Brisbane, QLD: 2 March 2012.

ACU はオーストラリア国内にキャンパスが分散しているので,このミーティングは毎年1回の顔合わせの意味もあって,今回は16名(国外はアメリカと日本から計3名)が参加し,現在取り組んでいるプロジェクトについて報告がおこなわれました。また、進行中の研究協力、APECSS の活動状況,Prayer and Spirituality (The Early Christian Centuries conference, after 2013) の計画についてもレポートが読み上げられました。

Conference talk @ Melbourne

2012年最初の研究発表は、メルボルンを訪問し、はじめて参加した Australasian Society for Classical Studies Conference においておこないました。今回は、これまでの研究領域から時代をさかのぼって、テルトゥリアヌスにおける Exercitatio animi について検討を試みました。発表のタイトルは、つぎのとおりです。

  • N. Kamimura, ‘Training for Christian Identity: Spiritual Exercises in Tertullian’, 33rd Australasian Society for Classical Studies conference, Hellenic Museum, Melbourne, VIC: 6-9 February 2012.

国内もふくめて古典学会への参加ははじめてでしたが、哲・史・文という三つの領域に分かれる発表のなかに宗教関連の発表がほとんどなく、時代的にもいわゆる古典期に限定されている日本の学会とはっきりと違うのは,古代末期,また、キリスト教に関連するテーマが扱われていることで、6世紀にいたる時代もまた Late Antiquity としてセッションが組まれたりすることです。日本であれば,今回私が取りあげた主題は、キリスト教学系や宗教学会でなければ、発表されることはないのでは。旧知の友人も多く参加し、メルボルン市内を散策して、有意義な一時を過ごすことができました。