Conference talk @ Okayama

第12回 APECSS のため、久しぶりに岡山大学を訪問。学会テーマは Health, Well-being and Old Age in Early Christianity、テーマにあわせて、また現在検討をはじめている北アフリカ・キリスト教における医療思想の展開に関連して、3世紀のアフリカを襲った Plague of Cyprian を論ずるテーマで研究発表。

  • N. Kamimura, ‘North African Way of Approaching to Medical Healing and the “Plague of Cyprian”,’ APECSS 12th Annual Conference ‘Health, Well-Being, and Old Age in Early Christianity,’ Okayama University, Okayama, Japan, 13–15 September 2018.

2018 APECSS
2018 APECSS
学会冒頭、2月に91歳で逝去された APECSS の創始者のひとりでもある Prof. Charles Kannengiesser を追悼。思い返せば、はじめて Charles を「見かけた」のは、私自身が学会発表をはじめて経験したこの岡山大学であって、中世哲学会記念講演のため出村教授が学会へと招聘し、その冒頭で親しく Charles と呼びかけるのを階段教室の上の方から感心しつつ眺めていたのは20年以上も前のことだった。およそ10年後、広尾ではじめてひらかれた WPRPS 第1回の発表後にはエクスカーションでも気さくに話しかけてくれ、さらに CSPS にはじめて参加したモントリオールでは、Charles, Pamela と会食、歓談。先に旅立ってしまわれた Pamela からは、モントリオールでの発表のおりに、日本の研究者のプレゼンスをしめせとはっぱをかけられたのも忘れられない思い出。

Conference talk @ Regina

NAPS にひきつづいてサスカチュワンのレジャイナでひらかれた CSPS に参加し、昨年に引き続いてテルトゥリアヌスの医療思想についての研究を発表しました。発表タイトルはつぎのとおりです。

  • N. Kamimura, “Tertullian’s Way of Approaching to Medicine and the Health of Human Soul,” Annual Meeting of the Canadian Society of Patristic Studies, University of Regina, Regina, Saskatchewan, 27–29 May 2018.

2018 CSPS
2018 CSPS
レジャイナは、CSPS に参加するたびに親しくしている Bob のホームグラウンドで今回は諸々お世話になりました。レジャイナに向かう途上では、Bronwen と一緒にトロント経由でトランジットの長い時間をともにして、研究テーマについて、また進行中のプロジェクトについて、十分に議論することができました。

Conference talk @ Chicago

シカゴで開かれた NAPS (24–26 May 2018) 最終日のセッション Erasing Memory in Early Latin Christianity をオーガナイズし、研究成果を発表しました。進行中のプロジェクトに関連して発表したセッション参加者の発表タイトルは、つぎのとおりです。

  • Ryan Strickler, ‘“We Must Pass Over the Persons in Silence”: Damnatio Memoriae in the Disputatio cum Pyrrho Attributed to Maximus the Confessor’.
  • Naoki Kamimura, ‘Augustine and the quest for “peace” in the communities of Roman North Africa’.
  • Bronwen Neil, ‘Papal Letters and Community Memory: Pope Hormisdas (514–23) on What Not to Read in the Sixth Century’.

2018 NAPS
2018 NAPS
今回は発表準備に四苦八苦し、結局発表の段階では論の焦点を絞りきれず、司会をつとめてくれた Dr. Wendy Mayer から発表後に出された質問にも答えることができませんでした。ただ、学会発表のよいところは、発表後に Wendy とそれからシドニーの Edwina と発表について話し合っているなかで、なにが論の焦点だったのか少しづつ明らかになってきたことで、つまり、問題なのは、アウグスティヌスの異端に対する対応と、北アフリカにおいて持続して一定の力を維持していた異教社会に対する対応を一元的に捉えようとする試み自体が、社会の実情、司教の支配力の実態を捉えきれていないのではないか、ということであって、この点が今後のこの発表に関する重要な課題として明らかになりました。発表してよかったと実感する機会をえられました。

Workshop @ Weobley, Herefordshire

2018年3月末からイースターにかけて英国滞在、ウェールズにちかい田園の古民家に滞在、ワークショップに参加するという貴重な機会を提供された。ワークショップに先立って Corpus Christi College に滞在、翌日アンナの運転で Weobley の民家を目指して移動、夕刻民家に到着。その日から3泊してワークショップ、アウグスティヌスの『秩序について』De ordine について、5人で集中討議を午前と午後の部に分けて行なった。また、2日目の午後には、つぎのタイトルで簡単な発表を行なった。

  • N. Kamimura, “Augustine’s De ordine Revisited,” An interdisciplinary 4-day workshop on the theme “Augustine’s De Ordine: Philosophical, Historical and Theological Perspectives,” organised by Dr Anna Marmodoro, The Throne, Weobley, Herefordshire, England UK, 26–29 March 2018

2018 Workshop
2018 Workshop
Corpus Christi のなかの部屋は快適でしたが、ワークショップ終了後に滞在した Beam Hall のほうは ensuite でなく、だいぶ古めかしいものでした。部屋のなかで作業に集中しているぶんには問題ないのですが、資料調査の期間ぐらいが妥当なのでしょう。
2018 Workshop
2018 Workshop
イングランドの田舎に滞在するという経験はまたとないものでした。古民家は床がぎしぎしと音を立て、大ぶりの材木で組まれた居室は趣にあふれ、夕刻になるとおとずれた食堂ではビールとラムを堪能。3月下旬だったのでまだ肌寒さをおぼえ、暖炉ではひたすら薪を燃やしつづけながら、アウグスティヌスのテクストについて議論をするとは、まさにカッシキアクムを追体験するようにも思えました。最後の夜にはみなでニールが持参したボードゲームに興じました。
2018 Workshop
2018 Workshop
早朝の散策で訪れた Woebley の村外れの古い教会も静謐ななか素敵なたたずまいでしたが、オクスフォードにもどるにあたって立ち寄った Herefordshire Cathedral Library や、Roman villa もすばらしいものでした。ヘレフォード大聖堂の図書室では、はじめて鎖につながれて棚に並んだ古刊本を見学し、アウグスティヌスの Amerbach edition を発見しました。また、大聖堂の Mappa Mundi も詳細に眺めました。さらに、発掘された Roman villa では、カッシキアクムに参加した人々が集った浴場の実態がどのようなものだったのか、それを彷彿とさせる発掘跡を見学し、水利施設をふくめ当時の技術をじっくりと鑑賞しました。イースターのさなかのオクスフォードでは、一日教会の鐘が鳴り響いていました。

Conference talk @ Brisbane

2018年1月下旬からブリスベンのクイーンズランド大学において開催された ASCS オーストラレーシア古典学会に参加し、進行中のプロジェクトに関連する研究発表を行ないました。発表タイトルはつぎのとおりです。

  • N. Kamimura, “Constructing the Sacred in Late Antiquity: Jerome as a Guide for Christian Identity,” 39th Australasian Society for Classical Studies conference, University of Queensland, Brisbane, QLD: 29 January–2 February 2018.

2018 ASCS
2018 ASCS
今回は、ASCS 参加に先立って、シドニーのマコーリー大学で開かれる書簡セミナーに出席し、大学構内に1泊しました。翌日、ブリスベンへ移動、空港から UQ へ移動しました。キャンパスは広大で、池のほとりでは夕方になるとカモメがうるさく飛び回っていました。研究発表については、Late Antiquity session において、ヒエロニムスのテクスト分析を紹介し、質問も幾つか出たので、今後の課題です。また、論集への寄稿の準備もはじめなければなりません。
2018 ASCS
学会がおわったあとで日程にすこし余裕があったので、友人たちにコアラサンクチュアリを案内してもらいました。メルボルンの動物園ですでに見たことのあるなじみの動物が多かったのですが、気温のためなのか、このサンクチュアリの動物たちのほうが生き生きとしていました。霧雨の煙るなか、カンガルーはエサを求めて人々の回りにわらわらと集まっているものもいれば、エサに飽きてじっとたたずんでいるものも。印象的だったのは、タスマニアンデヴィルがあんなに活発に動き回っているのをはじめて見たことと、カモノハシも元気に泳いでいたことです。ディンゴはかわいらしく、まるで柴犬のようでした。

Conference talk @ APECSS 2017 Melbourne

今回で11回目となった APECSS (Asia-Pacific Early Christian Studies) Conference に参加するためメルボルンに赴きました。学会テーマは、Responses to Conflict in Early Christianity、学会二日目のセッション 1B において研究成果を発表しました。論文タイトルは、つぎのとおりです。

  • N. Kamimura, ‘Tertullian’s understanding of sacred places and the differentiation of Christians from pagans,’ APECSS 11th Annual Conference, Australian Catholic University, Melbourne, VIC: 22-24 September 2017.

2017 Melbourne

22日夕方からの学会にさきだって、昨年からはじまった研究プロジェクトの打ち合わせが行なわれたので、学会会場と通りをはさんで向かいの新しいビルに空港から直接向かいました。古代末期に向かう時代のなかでユートピア概念の変遷を検討するこのプロジェクトにおいては、ヒエロニムスのテクスト群を考察するという役割を担当しているので,その点についての現段階での簡単な報告をしました。ヒエロニムスの分析の一端は、来年の ASCS Conference において試みるつもりです。

発表については、想定された質問がでたので、それに答えることになったのですが、いつも注意すべきであって今回できなかったのは、質問に答えすぎたというか、シンプルに質問に答えることができなかったということです。限られた質疑の時間のなかで説明過多にならず、相手の論点をさらに引きだす、また他の人からの質問を促すかたちでの簡潔な答えを述べるにとどめることの大切さをあらためて実感しました。

木曜日の夜に羽田を発ち、金曜・土曜・日曜の学会の後に、月曜の朝メルボルンを出国、夕方成田到着、夜に自宅到着という慌ただしいスケジュールでした。久しぶりにオーストラリアの友人たちと出会って、カンファレンス・ディナーをふくめて、いろいろと話し合うことができたのは大きな刺激となりました。少しづつとはいえ、APECSS に日本から新たに参加する人たちが出てきているのは嬉しいことです。

Conference talk @ Leuven 2017

シカゴで開かれた NAPS から一旦成田にもどり、ブリュッセルへのフライト後にルーヴァンへ移動。参加した国際学会 ‘Ocularism and the Metaphysics of Light’ において研究成果を発表しました。論文タイトルは、つぎのとおりです。

  • N. Kamimura, ‘Tertullian and the Beginning of the Metaphysics of Light in North African Christianity,’ International Conference ‘Ocularism and the Metaphysics of Light: Metaphors of Light and Vision across Time and Context,’ University of Leuven, Belgium: 31 May–3 June 2017.

Louvain 2017
Romero Room

これまでヨーロッパ大陸へはトランジットの関係で何回か CDG に立ち寄りましたが、はじめての訪問でした。NAPS で知り合った Matthew のオーガナイズする学会ということで申し込み、KUL の神学部内 Romero Room という部屋で開かれた学会でした。発表の後のディスカッションでは、キリスト論との関係、また古代の認識論との関係という難しい質問を受けて、あらためてこの問題に取り組む困難さを思い知らされました。Matthew とは発表後にこのプロジェクトの公刊見通しにかんして説明を受け、論文の改稿について見通しを立てることになりました。

Maurits Sabbe Bibliotheek
Groot Begijnhof

この学会は当初のもくろみから外れて、4日間の国際学会から1日だけの学会へとダウンサイズしてしまいました。それ自体残念だったのですが、それにもかかわらず参加すると表明したところ、Matthew や Prof. Anthony Dupont が大変に気を遣ってくれて、のこりの滞在期間に神学部図書館でデータベースにアクセスして、論文・資料調査を行ないたいというこちらの希望をかなえてくれたばかりか、時間を割いてランチに付き合ってくれたり、Matthew はベギン会大修道院を半日案内してくれました。Anthony によれば、大学は試験期間中で学生は大半帰省しているとのことでしたが、それもあってすこし閑散とした趣のある街中を歩き回ったのはよい経験でした。駅前にとったホテルから少し歩いたところにあった Peeters の本屋では、言われてみれば当然ですが、さほど広くない空間に初期キリスト教、教父学、聖書学の書物が棚に並んで、店内がすべてこういった書物で充満していることに驚きました。

Conference talk @ NAPS 2017 Chicago

シカゴで開かれた NAPS (25–27 May 2017) の二日目のセッション Religion/Medicine において、研究成果を発表しました。論文タイトルは、つぎのとおりです。

  • N. Kamimura, ‘Tertullian’s Approach to Medicine and the Care of Souls,’ North American Patristic Society 2017 Annual Meeting, Hyatt Regency Chicago, Chicago, IL.: 25–27 May 2017.

Chicago 2017

会場がハイアットに移ってから2回目の NAPS でした。ワーキンググループ ReMeDHe (Working group for Religion, Medicine, Disability, Health, and Healing in Late Antiquity) が主催したセッションに参加し、テルトゥリアヌスの初期と中期著作における問題への取り組みについて考察しました。フロアからの質問を踏まえて、今回の発表を改稿し、南アのクリスがエディタをつとめる雑誌への寄稿を約束しました。

Narita Hotel

シカゴに参加した後は、例年であればカナダの教父学会につづいて参加するのですが、今回はいったん成田に戻って、その後は別の学会参加のためにベルギーへ移動しました。大陸間周遊券なるものをとれなかったからです。移動のあいだも、ちょうど編集段階に入っていた教父研究会欧文号の寄稿論文の編集作業に取り組まざるをえず、シカゴから成田に戻る機内でも TeX のソースファイルを修正・点検していました。成田の全日空のホテルの宿泊した部屋から見えたのは、空港そばとは思えない光景でした。

Conference talk @ Canterbury UK

英国カンタベリーの大聖堂隣接のカンタベリー・カテドラル・ロッジにおいて開かれた国際研究集会 Ancient Thought from a Global Perspective: Human Freedom and Dignity (26-28 February) において、研究成果を発表しました。学会最終日のセッションにおいて話した論文のタイトルは、つぎのとおりです。

  • N. Kamimura, ‘The reception and (dis-)assimilation of patristic literature in early modern Japan,’ International Conference ‘Ancient Thought from a Global Perspective: Human Freedom and Dignity’, Canterbury Cathedral Lodge, Canterbury, UK: 25 February–1 March 2017.

Canterbury 2017
Canterbury 2017
学会オーガナイザの Prof. Karla Pollmann の招待によって、カンタベリー大聖堂のすぐ南にあるロッジで開かれた研究集会、あわせて学会前日に開かれた Post-Doctoral Fellow 主体のセミナーに参加し、また小規模のあつまりであったこともあり、濃密な議論の空間を享受することができました。EU ベースのプロジェクトに参加した人々は、英国、デンマーク、ロシア、ドイツ、イタリア、スペイン、ブラジル、チェコ、ハンガリー、日本、と多国籍で、今日のヨーロッパを中心とした人文学の交流の一端を覗くことができました。
Canterbury 2017
Canterbury 2017
初日午前に近くのアウグスティヌス修道院跡を訪ねることができたのも幸運でした。ハイシーズンでなかったので、土日しか空いてないということでした。2日目午後には、大聖堂のアーカイヴと図書館に案内されて、アルキヴィストの Mrs Cressida Williams による特別講義を受けました。古刊本修復の現場に立ち合って、この地において「雁皮」という言葉が発せられる場面に出くわしたのは一興でした。
発表した論文について刊行予定の論文集への投稿を誘われたのはよかったですが、なによりも議論のなかで今後検討すべき課題について有益な示唆を受けとることができたのがこの学会参加の収穫であったと言えるでしょう。

Conference talk @ Pingtung Taiwan

臺灣・屏東の国立屏東大学において開かれた第10回 International Conference of the Taiwan Association of Classical, Medieval and Renaissance Studies = TACMARS (21-22 October) において、研究成果を発表しました。学会2日目のセッションにおいて話した論文のタイトルは、つぎの通りです。

  • N. Kamimura, ‘Augustine on Friendship: Some Remarks on the Letters with Christian and Pagan Intellectuals,’ 10th International Conference of the Taiwan Association of Classical, Medieval and Renaissance Studies, National Pingtung University, Pingtung, Taiwan: 21–22 October 2016.

TACMARS 2016
TACMARS 2016

近いにもかかわらず、これまで訪ねたことがなかった臺灣での学会にはじめて参加しました。羽田からは大変便利、臺北松山空港まで3時間程度、そこから市内に移動、高速鐵路で高雄まで到達(車両は話に聞いていたように日本の新幹線)。そのあとは特急で屏東に到着。10月下旬とはいえ、臺灣南部だけに街中を歩いているだけで汗ばむほどでした。学会での発表は、古代末期については西洋古典学の領域からの発表が主体で、教父を扱った発表はほかにありませんでした。とはいえ、充分に考えるべき質問をもらえたので幸運でした。
 屏東のまちなみは、大学周りの整然とした光景と、それ以外の雑然とし、商店が軒を並べた活気あるたたずまいが対照的でした。夜は、町中を散策し、あてずっぽうにたどりついた夜店にて、中国語をまったく解さないにもかかわらず、メニューの写真をたよりに注文した香辛料のよく効いた料理を堪能しました。また、大学の学生スタッフがたいへん丁寧に応対してくれたことが印象に残りました。